「押すなよ!」と言われるほど
なぜか押したくなる、
あの衝動が頭をかすめました。
ハノイの路線バスにある、
SOSと書かれたボタン。
実はハノイではバスを降りる際、
このボタンを押して
運転手に知らせるのです。
日本なら「次とまります」という
ストレート表現が定番ですが、
よりによってSOSです。
そう、
遭難時の緊急救助要請に使う
あのモールス符号です。
バスジャックに備えた
緊急ボタンにも思えますが、
車内に20基くらいあるので
備えすぎです。
他のお客さんが降車の際
ガンガンSOSしているのを見て、
私はようやく
「押していいボタン」と確信しました。
そんな物騒(?)な
ハノイの路線バスですが、
実はとても安くて便利な乗り物です。
利用の手順をざっとご紹介します!
ハノイ市内路線バスの乗り方
バス停にはこのように、
路線番号と主な経由地・終点が
書かれています。
日本のような時刻表はありません。
待てば、やがて、来ます。
(中心部だと10分~15分おき)
専用サイトに路線図があるので、
予め調べておけば安心です。
Transercoホームページ
http://timbus.vn/
来ました!
乗車すると車掌さんが
「どちらへ?」と聞いてくるので、
行き先を伝えて切符を購入します。
運賃は市内近郊なら
一律7000ドン(約35円)。
タクシーだと10万ドン近くかかる距離も
路線バスなら10分の1以下の価格です。
先日開業したメトロと比べると
速さこそ劣りますが、
安さと路線カバー率は圧倒的ですね。
まだ新しいせいか、きれいな車内です。
音や揺れも日本とさほど変わりません。
切符を買ったらあとは
車内アナウンスの「地名」に耳を傾け、
先述のSOSプッシュで降りればOK。
とはいえ、
目的地がどのくらい先なのか
知っておかないとそわそわするので、
車内にある停留所一覧で
ざっくりつかんでおきましょう。
またはGoogleマップなどで
現在地を確認すれば
乗り間違えてもすぐ気づけますね。
ちなみに私がこの日乗ったバスは
利用者が5人くらいだったので、
目的地に近づくと車掌さんが
「次だよね」と声かけしてくれて、
SOSボタンを押さなくても
止まってくれました。
日本の路線バスには
車掌はほとんどいないので、
こういう気づかいはほっこりします。
本当にこわい降車時の話
バスを降りる際に
かなり注意すべきポイントがあります。
それは、
客が降りる前に
バスが動き出す
ということ。
メトロの記事でもちらっとご紹介しましたね
1人だけ降りる状況だと
あまり出くわさないのですが、
同じ停留所で複数人が降りる場合、
最後に降りる人はかなりの確率で
徐行するバスから
飛び降りる形になります。
地元の人いわく、
運転手は決められた時間内で
運行できたか厳しくチェックされ、
遅れなどがあると
給料から引かれるそうです。
時刻表がないバス運行の裏では、
運転手が生活を懸けたタイムレースを
繰り広げていたのです。
なので降りる際は安全のため、
早めに降車口に近づいておきましょう!
SOSについて本気出して考えてみた
停車ボタン=SOSの理由を
何人かに聞いてみましたが、
明解な答えはまだ得られていません。
みんな物心ついたころから
SOSしていたようです。
「SOS」とはそもそも、
モールス符号で打電しやすい
(=慌てていても伝えやすい)
文字の組み合わせなので、
言葉自体に意味はありません。
ASAPとかPPAPみたいに
何かの略称かと思いましたが、
そういうわけでもないようです。
なので私は今のところ、
「助けを求める」という本来の合図が、
「降車の助けを乞う」合図に派生した
と解釈しています。
ちなみに、
何かを禁止されると余計に
それをやりたくなってしまう現象を、
心理学用語で
カリギュラ効果と言います。
ダチョウ倶楽部さんの鉄板前フリ、
「押すなよ!」がまさにそうですし、
私の息子や娘が大好きな
ベストセラーの絵本にも、
このカリギュラ効果を応用した
「押すなよ!」が登場します。
↓これです。
このカリギュラ効果の視点から
SOSボタンの意義を考えてみると・・・
~~ ~~ ~~ ~~
「押すなよ!」と言わんばかりの
物騒なボタンを用意することで、
客の速やかな意思表示を間接的に促し
運行管理をしやすくしている。
という仮説が立つではないでしょうか。
ただの思い付きですが、
あの運行タイムレースの実態を踏まえると
案外、的を射ている気がします。
そのうち論文書いてみよう。
まずどこかの教授にSOSしなければ。
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