まあまあ衝撃でした。
先日ハノイ市内で、
日本語を学ぶベトナム人の学生と
話す機会がありました。
20歳の女子大生は覚えたての日本語で、
「日本の首都はどこですか?」と
一生懸命私に投げかけてくれました。
まるでアイドルの始球式のような
初々しい会話の投球フォームに
心がなごんだ私は、
「日本の首都は、東京ですよ。」と
精一杯のやさしいボールを返しました。
すると直後、
「いいえ、違います」と
オオタニサンばりの
剛速球が飛んできました。
初々しい投球フォームからの、
オオタニサンです。
続けて彼女は、
「日本は1956年以降、
首都を定めた法律を
もっていませんから」と
切れ味抜群のスライダーを
ぶん投げてきました。
不意を突かれた私は
なんとか形勢を立て直そうと、
「ん、あぁ、たしかにね…」と
ボテボテのゴロをやっと打ち返し、
全力で別の話題に逸らしたのでした。。
そもそも首都って何?
私もざっくりは把握していたのです。
「東京は日本の
”事実上の首都”である」と。
でも勉強不足で
ゴロしか打てなかったので、
帰宅後に調べました。
一般的に「首都」とは
国の中央政府がある場所を指しますが、
国によって定義は微妙に異なります。
たとえば南アフリカ共和国は
60年前イギリスから独立する時に
首都をどこにするかで大いにもめた末、
・プレトリア(行政府)
・ケープタウン(立法府)
・ブルームフォンテーン(司法府)と、
なんと首都を3つにしました。
しかも最大の都市はヨハネスブルグというまた別の都市・・・
日本の外務省は行政府の所在を優先し
「南アフリカの首都=プレトリア」
としていますが、
「首都ってなんだろう」という
こういう国もいくつかあるのです。
一方、
ベトナムの首都はハノイです。
これは断言できます。
なぜ断言できるかというと、
憲法で決まっているからです。
ベトナム社会主義共和国憲法144条
“ベトナム社会主義共和国の首都はハノイである”
自国の憲法に書いてあるのですから
それはもう不動の事実です。
※イスラエルのように自国で首都を定めていても
国際的な承認が得られないケースもあります。
しかし日本の場合、
憲法に条文がないどころか、
「東京=首都」と定める法律は
現在ありません。
あいまいな日本の私
かつては戦後(1950年)に定められた
「首都建設法」という法律で、
“東京都を新しく
我が平和国家の首都として…” と
ちゃんと「東京=首都」が
明示されていました。
しかし、この法律は
わずか6年で廃止されます。
代わりに「首都圏整備法」という
法律ができたのですが、
ざっくり要約すると、
“東京とその周辺を首都圏と言うよね”
とは書かれているものの、
「東京=首都」の記載はありません。
これ以来、
「東京=事実上の首都」という
あいまいな日本の東京物語が
始まったのですが、
この状態になった年、つまり
「首都建設法」が廃止された年が
まさに先述のスライダーの通り、
1956年でした。
ベトナムの女子大生、恐るべし。
「東京=首都」が違うわけではないのですが、鋭い指摘です。
「なぜそんなことを知っているの?」
と女子大生に尋ねると、
「日本が好きだから調べました」
と、またもや剛速球。
ぐうの音もでませんでした。
私はベトナムが好きだけれど、
そんなレベルのことまで調べただろうか、
いや、ない(反語)。
もっと学ばなければ。
20歳の女子大生が投げた剛速球は
果物バカアラフォーの脳天を直撃し、
非常に価値ある
デッドボールとなりました。
長男坊と次男坊
女子大生に完封負けを喫した
アラフォーのたわごとですが、
各国の二大都市圏って
なんか性格が正反対ですよね。
ベトナムの最大都市圏&経済の中心は
北部の首都ハノイではなく
南部のホーチミンなのですが、
駐在員の先輩方に聞くと、
ハノイ=まじめ、きっちり
ホーチミン=自由、ざっくり
というイメージが浮かび上がります。
やっぱり首都の方が取締りの目が行き届くからでしょうか。
日本だと、
首都圏と関西圏の関係がまさに
ハノイ&ホーチミンの関係と
近いものを感じますし、
中国の北京&上海に至っては
人口比率といい経済バランスといい、
もっとそっくりだなあと思います。
ちなみに先述の剛速球女子大生は
生まれも育ちもハノイ。
さすがまじめだなぁと思いきや、
大学卒業後はホーチミンで
遊んで暮らしたいそうです。
国や地域で、人は語れない!
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